風力で動く、美しすぎる地雷除去装置
「タンブルウィード」をご存知ですか?別名回転草、西部劇には必ず出てくる、乾燥した荒野をテン、テン、テン、と風に乗って転がっていく、軽くて丸いあの物体です。タンブルウィードが果てしなく転がるような自然の動きにヒントを得て、今までより100倍安く、より安全に地雷を除去する方法が生み出されました。
画を見るとまるでスターウォーズの撮影クルーが忘れていった小道具のようですが、この奇妙な形をしたボールは何千人もの命を救うかも知れません。
アフガニスタンのカーブル郊外で幼少期を過ごしたマスード・ハッサニ(Massoud Hassani)さんは、どこの子供もそうであるように、昔、身の回りにあったものでオモチャを作って遊びました。「お気に入りの1つは、安い材料で作る、小さな転がる物体でした。風の力で動くものです。みんなで色々なデザインを試し、兄や他の子供と競い合って近所で遊んだものです」「しかし競争していると速く転がり過ぎて 、(地雷があるので)入ってはいけない遠い場所にいつも行ってしまいました。」
遊び場だった近所の砂漠は、他国の軍隊が遺していった爆発物がいたる所にある危険な場所でもありました。まわりの誰もが、地雷で傷ついた、もしくは死んだ人を知っている...そんな環境で育ったハッサニさんとその仲間は、何度も友人が地雷を踏むのを目撃したそうです。<Mine Kafonが地雷を踏む瞬間(テスト)>やがて父親を亡くしたハッサニさんの母親は、彼が14歳の時、子供達の身の安全のため密入国業者に彼らを託しました。4年に渡るあちこちでの亡命生活の後、ハッサニさんはオランダに移住することに。そこで、工業デザインでは世界一と言われることもある、アイントホーフェン・デザインアカデミーに入学する事が出来ました。
卒論プロジェクトを考える在学最後の年になって、ハッサニさんは模型やオモチャを作った子供時代を思い起こしました。「20年近く経って、あの頃に還り、同じオモチャをまた作ったわけです」と語るハッサニさん。「同じような物体を今度は20倍の大きさ、重さ、そして強さで。」
その物体がこの映像に出てくる「マイン・カフォン(Mine Kafon)」地雷撤去装置です。
風の力だけで地雷原を動き回り、地雷を踏みわざと爆発させて撤去していくこの人工タンブルウィードは、廉価な竹、ゴム、プラスチックと少量の鉄で作られています。電子機器は、搭載されたGPS装置のみ。GPSによって地雷が埋まっていた場所を特定し、除去の進み具合を記録します。
過去60年間、地雷撤去の方法にあまり進化はありませんでした。ハッサニさんは<Co.Design>にこう説明しています。「お金が必要な地元の人間が(歩いて)やっているんです。それで多くの人が負傷します。」
重機でプロが行なう方法では地雷1基につき平均1,200ドル(約9万9,000円)かかり、発見に何日もかかることも。「マイン・カフォン」の場合、量産が実現すれば1機40ドル(約3,300円)で作れ、原型が失われて壊れるまでに3〜4基の地雷を無人撤去できます。地雷1基を撤去するコストが、1,200ドルから10〜13ドルにまで下がるということです。そして、かけがえのない人命を救うことは言うまでもありません。
<デザインアカデミーで製作をデモするハッサニさん>
オランダ政府機関との提携により、「マイン・カフォン」は2年間のあいださまざまな試験にさらされましたが、現在のモデルでは軍事用には向かないと判断されたそうです。そこでハッサニさんは、一般投資/寄付ソーシングサイトのKickStarter.comを通じ、さらなる試験や新しいプロトタイプ、そして最終的な生産・撤去実施に使う資金を募っていく予定です。
アフガニスタンに埋まっている地雷は 3,000万基と言われますが、推定人口が約3,000万人ですから、人の数だけ地雷があることになります。
「この線を越えると危険」という場所に囲まれて育ったというハッサニさん。その状況が次の世代で変わるように、装置の改良を続けています。彼が故郷のアフガニスタンで「マイン・カフォン」を起動させたいのはもちろんですが、チームは将来、アフガニスタンよりも地雷が多い北アフリカやアンゴラにもこの装置をもたらすことを検討しているそうです。
Mine Kafonブログ・ホームページ:http://minekafon.blogspot.com/
動画はコチラ↓
美し過ぎるという形容が必要なのかは疑問ですが、
タイトルとしては あった方が 興味をひきますよね。
できるだけ自由な発想で 私もこのBlog“美しく 樹つる 石が根”に取り組めるようになりたいです。
“全日本 青空高く日の丸掲げ!推進委員会委員長”