拉致事件について政府の尻を叩くのは我々国民の責務。それが民主主義。
対策本部から回答 【調査会NEWS2043】(27.11.20)
10月27日及び11月12日に加藤大臣宛に提出した要請及び質問について昨日回答が届きましたのでお知らせします。原文は回答のみなので要請・質問事項を加えてあります。
このような正式の回答文書を作成するのは相当の手間がかかるものであり、関係者のご苦労に感謝申しあげる次第です。これは事務局作成の文書ですから、これまでの政府の対応等との矛盾がないように作成されており、国会の質問主意書に対する答弁書的意味を持つものと言えるでしょう。政府の基本方針と言えるものであり、あらためて見てみるとこの本心では拉致問題の進展は極めて難しいということも分かります。
後日各項について議論していきたいと思いますが、とりあえずご覧下さい。
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1、日朝交渉についてストックホルム合意に基づく日朝交渉は失敗であり、今後進展の可能性はほとんどないと考えます。試行錯誤は仕方ありませんが過ちは早急に認め対策を立て直すべきです。この際前官房副長官である大臣ご自身が交渉の責任者となって官邸との連携のもと交渉の立て直しをしていただきたくお願い申しあげます。例え最初の帰国が数人であっても、ともかく進めることが大事です。途中で棚上げすることなく絶対に最後の一人まで取り返すという姿勢で道を切り拓くための交渉を期待しております。
(対策本部回答)
安倍内閣の最重要課題である拉致問題の完全解決に向けて、これまでも関係府省庁が緊密に連携しつつ、政府一体となって、オールジャパンの体制で取り組んで参りました。
今後も引き続き、安倍総理大臣の力強いイニシアティブの下、全ての拉致被害者の早期帰国に向け、「対話と圧力」、「行動対行動」の基本姿勢を貫き、関係府省庁とも緊密に連携しつつ政府一体となって、全力で取り組むことで、北朝鮮から具体的な行動を引き出して参りたいと考えております。
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2、総理と特定失踪者家族の面会についてすでに何度も安倍総理と特定失踪者家族の面会をお願いしましたがいまだ実現していません。総理と特定失踪者家族が面会することは北朝鮮に対してもプレッシャーになるはずです。ぜひとも実現へのご協力をお願いします。また、これも前から要請していることですが、認定被害者家族への説明等の場に何人かずつでも特定失踪者家族を同席させていただくようお願い致します。
(対策本部回答)
政府としては、拉致被害者として認定された17名以外にも、北朝鮮による拉致の可能性を排除できない行方不明者の方々がいらっしゃると認識しており、認定の有無にかかわらず、全ての拉致被害者の安全確保及び即時帰国のために全力を尽くしているところです。
拉致被害者の認定については、北朝鮮側に反論する材料を与えることがないよう、慎重に対応しているところであり、拉致の可能性を排除できない行方不明者の方々の御家族に対しては、まずは拉致問題担当大臣がお会いしてお話しをお伺いさせていただきたいと考えております。
日朝協議の状況を含む拉致問題関連の動向につきましては、希望される御家族に対して、郵送またはメールで定期的に情報提供させていただいているところです。
また、拉致被害者御家族への説明会には貴会からもご出席いただき、「特定失踪者」の御家族に情報提供していただいているところです。
拉致の可能性を排除できない行方不明者の方々については、「行方不明の態様等が様々であること、人数が非常に多数に及ぶこと等から、拉致被害者御家族への説明会への同席について、御家族全員にお声がけすることは困難です。
仮に交代で参加していただく場合、公平性の観点から問題が生じる可能性があるほか。開催の度に出席者が異なることとなり、それまでの議論の流れに沿った説明会とならないおそれもあります。
したがいまして、説明会に拉致の可能性を排除できない行方不明者の方々の御家族に同席いただくことは困難と考えており、個別に情報提供させていただきたいと考えております。
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3、全国の特定失踪者家族への説明についてストックホルム合意後、政府は「北朝鮮との調査に使うため」として特定失踪者家族から失踪者に関する個人情報を北朝鮮側に提示することの「意向確認書」を集めています。しかしその後交渉の経緯などについては一切伝えられていません。この際警察のリスト(現在877名と聞いています。その中には私たちのリストのほとんどが含まれます)のご家族に対し県ごとないしブロックごとに対策本部から状況説明をする機会を作っていただきたくお願い申しあげます。
(対策本部回答)
日朝協議の状況を含む拉致問題関連の動向につきましては、。希望される御家族に対して、郵送またはメールで定期的に情報提供させていただいているところです。
また「拉致問題を考える国民の集い」等、様々な機会に拉致の可能性を排除できない行方不明者の方々の御家族にお会いし、状況説明を行うとともに、御家族の声を直にお聞きしております。
さらに、警察においても、捜査・調査の状況について、御家族に対し可能な範囲でご説明させていただいております。
引き続き、御家族に対する状況説明について、丁寧に対応して参りたいと考えております。
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4、北朝鮮向け短波放送「しおかぜ」について関係各位のご尽力により去る10月25日から「しおかぜ」の全面300キロワット送信が実現しました。あらためて御礼申し上げるとともに、より聴取可能性の高い中波送信の実現に向けご協力をお願い致します。
(対策本部回答)
中波送信の実現につきましては、拉致問題対策本部事務局として何ができるかを検討してまいりたいと考えております。
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5、「山本美保さんDNAデータ偽装事件」に関し、私共は警察にDNA鑑定書の開示を求め、昨年9月には日弁連も私たちの人権救済申立を認めて警察庁長官に開示(謄写)を求める勧告を行っています。今回大臣は国家公安委員長との兼任ではありませんので、本件につき河野国家公安委員長への要請をさせていただきたく仲介をお願いする次第です。(対策本部回答)
貴会の御意向について、拉致問題対策本部事務局から警察庁にお伝えいたしました。
警察庁から河野太郎国家公安委員会委員長にお伝えしたところ、「警察では、DNA型鑑定の専門家同席の下で、鑑定人から御家族等に対して本件鑑定書の説明を行う場を設けたいと考えている。御家族等には、信頼する専門家を御推薦いただいた上で、この説明会に参加していただきたい。」とのご返答があったとの連絡を受けました。
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6、東京新聞の報道した文書について、政府機関では入手しているでしょうか。入手しているとすれば閲覧は可能ですか。(対策本部回答)
政府は、拉致問題の解決に向けて、必要な情報収集を推進しているところですが、その具体的な内容については、これを明らかにすることにより、今後の情報収集等に支障を及ぼすおそれがあることから、お答えを差し控えさせていただきます。
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7、官邸のホームページには「北朝鮮による拉致問題とは」のページに「1970年頃から80年頃にかけて、北朝鮮による日本人拉致が多発しました」と書かれています。東京新聞の報道では「文書は1997年以降に作成され2011年までは使われていたとされる」となっており、政府の認識を完全に覆すものとなっています。この資料の信憑性に対する認識は別にして政府では1960年代までの拉致、ならびに1990年代以降の拉致はなかったという認識でしょうか。(対策本部回答)
政府は、北朝鮮による拉致の可能性を排除できない事案として、お尋ねの時期に行方不明となった方々を含む876名(平成27年10月27日現在)に関して捜査・調査を行っております。
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8、日本政府は常に「政府認定17名」と言っていますが、実際には警察断定の高敬美・剛姉弟がおり、警察断定発表後、ご家族と共に支援室(現在の対策本部事務局)に伺った際は当時の室長から「認定被害者と同様に扱う」と言われています。そもそも支援法による認定から高姉弟が外れるのは国籍条項によるだけであり、拉致としての実質は変わらないはずです。さらに昭和53年8月15日の富山における未遂事件も、未遂であっただけで犯罪行為が存在したことは明らかなのですから、本来「政府認定17名」は「政府機関が拉致被害者と考える19名及び未遂2名、合計21名」であるべきと考えます。このように政府の表現を変更していただけないでしょうか。(対策本部回答)
政府は、北朝鮮当局によって拉致された被害者等の支援に関する法律(平成十四年法律第百四十三号)第二条の規定に基づき拉致被害者として認定されている17名に加え、お尋ねの姉弟(高敬美さん、高剛さん)の失踪事件について、ホームページで紹介しております。
拉致は国籍に関わらず重大な人権侵害であり、同時に我が国の主権侵害に当たることから、政府は、北朝鮮側に対し、原状回復として被害者を我が国に戻すことを求めるとともに、同事案の真相究明を求めております。
ご意見については、今後の広報資料作成に当たっての参考とさせていただきます。
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9、あらためて大臣にお聞きすることではないかも知れませんが、拉致被害者を救出する責任は誰にあるのでしょうか。総理大臣、あるいは拉致問題担当大臣、また別の閣僚でしょうか。残念ながらこれまで自民党・民主党それぞれの政権において拉致被害者救出の責任の所在は明確ではありませんでした。したがって5人の帰国以来13年、何も進展しないことに誰も責任をとってきませんでした。あらためて、被害者救出の責任が誰にあるのか、ご回答いただきたくお願い申しあげます。(対策本部回答)
北朝鮮による拉致問題は、政府の責任において解決すべき最重要課題です。
政府は、総理大臣を本部長、拉致問題担当大臣、内閣官房長官及び外務大臣を副本部長とし、すべての国務大臣を構成員とする拉致問題対策本部を設置しております。対策本部においては、拉致問題に関する対応を協議し、同問題の解決のための戦略的取組及び総合的対策を推進しております。
具体的には、平成25年1月25日の本部会合において、「拉致問題の解決に向けた方針と具体的施策」を決定し、基本方針の下、各閣僚は、本部長、副本部長を中心に連携を密にし、具体的な8項目について、それぞれの責任分野において全力を尽くすこととしております。
“全日本 青空高く日の丸掲げ!推進委員会委員長”