日本のパスポートの実力は、日本に対する世界の信頼と尊敬の証です。

世界を船で航海している、ある航海士の方がこんな話をしていました。
「私は世界各国に上陸するのですが、その際、フィリピン人乗組員が検問所で厳しい検査を受けるのに、我々日本人だけは、いつも検査なしで通過できるのです。その時、日本のパスポートの信頼度の高さをまざまざと知るのです」

ここにも示されているように、日本のパスポートは世界のほとんどの国に検査なしで入国許可証（ビザ）を手に入れることができる特別なパスポートなのです。

パスポートとは、その国の国際社会におけるポジションを示しています。その意味で、日本人はミシュランガイドの星を有難がるよりも、日本のパスポートが３つ星どころか５つ星といえるほどの実力を持っていること、そういう国に生まれたことを感謝すべきと思うのです。
そして、この信用は、とりも直さず、これまでの日本人が地道に築いてきたものです。つまり私たちの祖先が世界から信用される振る舞いを脈々と続けてきたからに他なりません。

さて、私たちは、世界最高レベルの安全と便利さを有する日本という国に住んでいますが、世界ではいったい今、何が起こっているのか。

南シナ海、南沙諸島では、ベトナム、フィリピンなどが中国と海洋の領有権を主張し、中国船がベトナムの船を沈没させたり、島を実効支配しているのです。同じく中国の香港では民主運動のデモが収まらず、ついに中国政府はデモ学生を実力で排除し始めました。

北に目を向ければ、ロシアとウクライナの紛争は、マレーシア航空機の墜落という最悪の事態になりました。また、それに関連して、ロシア軍の爆撃機が日本の領空近くに頻繁に接近し、わが自衛隊のスクランブル発進も増えていると聞きます。

また、遥か西に目を向ければ、イラクとシリアにまたがるイスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」では、米国人ジャーナリスト等が公開処刑され、そうしたテロ行為に対して、米軍が空爆をしたことは皆さんも知っていると思います。

さらに、西アフリカで発生したエボラ出血熱では、アメリカ国内の人に感染したということです。このエボラウィルスに対するワクチンはまだ開発されておらず、感染後の死亡率は７０％もあります。また、潜伏期も長い場合は３週間もあり、海外から日本へ入るウィルスを水際で食い止めることが果たしてできるのかどうか、疑問視されています。

世界は今、こうした深刻な問題を抱えており、本当は、世界が一致団結して、この危機を乗り切らねばならないときなのです。そして、世界でもっとも恵まれた国である日本は、こうした難しい問題を先頭となって解決していかねばならない立場にあるのです。

なぜなら、恵まれた境遇にある人は、恵まれない境遇にある人に力を貸す義務がある。これが人間の本来の姿だからです。
そして、この考え方は、私たち日本人が昔から大切にしてきた「武士道精神」そのものなのです。

かつて西欧諸国から日本を守るために立ち上がった、幕末の志士たちは、皆さんと同じ年齢の頃、すでに、松下村塾という小さな学び舎に集まって、日本の現状や問題点を語り合い、その解決のために本気で考え、本気で鍛えていたのです。

皆さんも目の前の勉強が、将来の世の中の人たちの幸福につながっていることを知るべきです。世界には深刻な問題がたくさんあって、それを日本人なら解決できるのではないかと、世界が日本に期待しているのです。

自分の今日の努力が、自分の家族だけでなく社会全体の喜びとなって広がって行くのです。そして、それは、皆さん自身の自己実現でもあるのです。

日本のパスポートの実力は、日本に対する世界の信頼と尊敬の証です。
私たちは、その信頼と尊敬を次の世代にも残せるよう、そして、立派な先輩方の努力や犠牲に恥じない「高い志」を持って勉学に励みたいものです。

【校長室から】 2014-10-20 09:04 up! *

上記は、何度か御紹介している一宮市立奥中学校校長先生のブログ*1です。

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中学生に限らず、

あなたの取り組むべき事が
将来の世の中の人たちの幸せに繫がっていると思えば
ふんばれるはず。

日本の先輩達が
地道に築いてきた祖国日本への
信頼と尊敬を裏切ることを想像したら
ぐっと堪えられるはず。

僕らの時代が、
過去とも未来にも繫がっている事を知れば、
個人の自由や権利ってとっても些細なことだと気付くはず。

どのように生きるのか？という個人の「自由」は、
公に尽くす喜びの内側にあるものなのだから。